増える多種のアレルギー疾患
先進国においてここ30年間にアレルギー疾患は急増しています。これは現代社会のさまざまな環境変化、多様化する食生活により,目にみえない人間自身の免疫機能の障害あるいは変化が起こったものであり、花粉症やアトピー性皮膚炎をはじめとする様々なアレルギー性疾患の発生・増加しています。このような多様化かつ複雑なアレルギー疾患は難解な疾患であり、その診断・対応は非常に難しいものです。
歯科材料とアレルギー
歯科臨床においても多種多様な歯科材料をアレルゲンとするアレルギ一性疾患が増加しています。その中の一つに過ぎないかもしれませんが、歯科材料の中でドクターにも患者さんにも治療の上で欠かせない歯科金属に対するアレルギー(歯科金属アレルギー)は非常に大きな問題です。この金属アレルギー患者は当然のことながらネックレスやピアスなどの装飾品による金属アレルギーに関する既往も多く,その後に発症した皮膚・粘膜疾患で悩んでいる患者さんは年々増加傾向にあります。私はこの歯科金属アレルギー患者の診断およびその治療を東北大学病院保存修復科において約10年間たった一人でその対応をして来ました。しかし、大学の中では一人のドクターのために新たな診療体制の構築は出来ずに、独立して頑張ろうと考えました。
歯科医療の功罪と現代病としてのアレルギー
歯科金属アレルギーは明らかに現代病です。日本の闇雲に使用されてきた金属、また日本歯科医療において闇雲に使われてきた歯科用金属の代償がアレルギー疾患として帰ってきたわけです。
歯科金属アレルギー患者は当然のことながら、アレルギー疾患すなわち病気です。しかし、それに対する治療は金属を使わない治療に繋がり、保険が効かない自費治療になるケースが非常に多いのが現状です。特殊治療ですのである意味仕方ないかもしれませんが、自分が診断した金属アレルギー患者さんは普通の自費治療より少し優遇してもいいのではないだろうか?と考え、一般自費料金の30%減の設定を試みることにしました。病気なんだからいいのではないでしょうか?
当クリニックでの治療は?
昨年、歯科雑誌に自分の過去10年間積み上げてきた歯科金属アレルギー患者約300症例の対応を掲載することが出来ましたので、以下紹介致します。
最後には、その他、歯科金属アレルギー疾患として関連性が言われている疾患の紹介、さらに当院で行う治療の方法の一部を紹介致しました。
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- 「一般歯科医が行える金属アレルギーの対応(.wmv」 歯朋星陵会学術講演会における講演資料
2013年6月1日更新