歯科金属アレルギーの診断と治療法の現在(資料)
5. これからの歯科金属アレルギーの治療について
過去10年間、金属アレルギー患者の診断・分析・抗原除去療法治療に従事してきて、代表的な金属アレルギー関連疾患とされている扁平苔癬をはじめ、掌蹠膿疱症や接触性皮膚炎の過去の対応成績や治療法について触れてきた。
その結果、扁平苔癬や接触性皮膚炎の発症例における金属アレルギーの位置づけは、臨床症状発症部位とアレルゲンの近接がある場合に限って、積極的に抗原除去療法を行っている。
しかし、そのように症例を選別しても金属抗原除去療法の奏功率はその5割程度であることが現実である。金属アレルギーの治療は抗原除去後の症状改善だけが治癒の指標である。そのため、より治癒確実な症例に対応することが望まれ、また抗原除去療法が奏功しなかった場合にも対応できるように医科の知識と対応を知って事前に患者に提示しておかなければならない。
とくに、全身性の歯科金属疹や掌蹠膿疱症のような難症例は、まず医科における加療を優先すべきである。経過が長く医科の加療も奏功しない場合、また患者から強く希望される場合にはじめて金属抗原除去療法という歯科の対応をするのが得策である。
掲載:the Quintessence, vol.24 NO.11/2005-2415
- はじめに「歯科金属アレルギーの診断と治療法の現在」
- 東北大学病院における金属アレルギー患者の動態
- 金属アレルギー患者の診断法
- 金属アレルギー関連疾患の診断および治療法
- まとめ「これからの歯科金属アレルギーの治療について」
- 「一般歯科医が行える金属アレルギーの対応(.wmv」 歯朋星陵会学術講演会における講演資料
2014年4月1日更新